つくり方
「AIが全部やります」と言わないことにした理由
JUNROS は、予約票を撮る/選ぶだけで、AI が内容を読み取って旅行の予定に整理するアプリです。そう説明すると、次に「じゃあ全部おまかせでいいんですね」と聞かれます。けれど紹介文でそう書くことはしていません。理由を書いておきます。
読み取りは、当たるときと当たらないときがある
予約票の書き方は会社ごとにばらばらです。同じ「10/8」でも、出発日のこともあれば発行日のこともある。時刻が現地時間なのか日本時間なのか書いていないこともある。往復が1枚にまとまっていることもあれば、別々に届くこともある。
AI はこれをかなりうまく読みますが、100%ではありません。そして問題は「外れること」そのものより、外れたことに気づけないことのほうです。
旅程が一見きれいに並んでいると、人はそれを信じます。信じたまま当日を迎えて、集合時刻が1時間ずれていたと空港で気づくのが、いちばん困る形です。自動化の危険は、間違えることではなく、間違いを静かに隠してしまうことにあります。
だから、確認できる状態を先に用意した
読み取りの精度を上げる努力とは別に、次の3つを先に決めました。
読み取り結果は、必ず確認画面を通る
読み取った内容がそのまま旅程に入ることはありません。項目ごとに値が入ったフォームが必ず表示され、目で見て、違っていればその場で直してから登録します。ひと手間ですが、この一手間を省くと上に書いた失敗が起きます。
AI が推測した項目には、そう分かる印をつける
予約票に明記されておらず、前後の文脈から AI が補った項目があります。そうした項目は「推定」であることが分かるように表示します。 全部が同じ見た目で並んでいると、どこを重点的に見ればいいか分かりません。確かめてほしい箇所を、こちらから指し示すべきだと考えました。
元の画像と PDF を、予定と一緒に残す
読み取りの項目は、予約票に書いてあることの一部です。座席、ターミナル、客室タイプ、キャンセル規定、予約サイト側の受付番号。項目として持たない情報は必ず出てきます。
なので元のファイルを予定に添付したまま残します。読み取れなかったものは、原本を見れば分かる。 これが成立していれば、読み取りが完璧でなくても実用になります。
上限を設けているのも、同じ考え方から
読み取りには AI の利用料がかかります。JUNROS では現在、書類の自動読み取りを1か月あたり10件までとしています。上限は毎月1日にリセットされ、手入力での予定の追加に上限はありません。広告は表示しません。
上限はないと言っておいて、実際には内部で静かに絞る、という作り方もできます。けれどそれは「静かに嘘をつく」ことになります。いま出せる条件をそのまま書いておくほうが、あとで説明する必要がありません。
画像がどこへ行くかも、隠さない
読み取りのために、画像は当社のサーバーを経由して AI(Claude API)へ送られます。端末の中だけで完結する処理ではありません。送られた画像がモデルの学習に使われることはありません。
搭乗券や予約票には個人の情報が写ります。だからこそ、実際より安心に聞こえる言い方を選ばず、経路をそのまま書いています。詳しくはプライバシーポリシーと、製品ページのデータの扱いをご覧ください。
まとめると
JUNROS がやるのは、手入力をなくすことであって、確認をなくすことではありません。 予約票を撮る/選ぶだけで予定が並ぶところまでは引き受けます。そのうえで、合っているかを最後にひと目見てもらう。この形がいちばん現実的だと考えています。